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日本母性衛生学会の会場で、「ミキハウス」を手がける三起商行(大阪府)と連携し、千里金蘭大学の学生が運営を担当したキッズコーナー=2023年11月、大阪市北区、千里金蘭大学提供
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 遠方の学会に参加したいけど、子どもはどうしよう――。育児中の研究者の研究継続をはかろうと、「子連れ出張」を支援する動きが大学などで広がっている。研究者にとって学会参加は研究に不可欠で、キャリア形成にも欠かせないが、土日開催で宿泊が必要だったり、子どもの送り迎えに間に合わなかったりする。「連れて行ける」選択肢を用意し、金銭面で支える。

子連れ出張、やってみたら…

 山口大准教授で関数論が専門の堀田一敬准教授は昨夏、仙台市で開かれた日本数学会の大会に向かった。体調が優れない家族の状況を考え、2人の幼児を帯同。子の飛行機代やホテル代は自腹だ。

 3泊4日の予定で、事前にホテルに着替えなどを宅配便で送った。それでも、道中の遊び道具などでバックパックはパンパン。それを背負い、両手に子どもの手を握って移動した。「ヘトヘトで、ホテルに着いた時点で『目的達成』。学会はそれからなのに」と苦笑する。

 日本数学会では20年前から、専門スタッフを置いた保育室を会場に設ける。大会期間中、堀田さん家族を含め3家族計4人の子どもが保育室を利用した。堀田さんは連日、午前から夕方にかけて専門の関数論や関連分野の発表を聞き、知見を増やした。次の研究につながるテーマも見えてきた。「子どもは楽しかったようで、今でも『また仙台に行こうね』と言う。私も研究上の収穫もあり、大変だったけれど一緒に参加して良かった」と話す。

 堀田さんは日本数学会の男女共同参画推進委員をつとめる。以前は保育室の利用率を上げることが委員としての目標になると考えていたが、実際に子連れ出張を経験して考えを変えた。「会場に行くだけで大変。保育園や学童の土日利用など、居住地でのサポートを活用しながら参加できる環境ができることが望ましい。その上で、どうしてもという時の選択肢として、子連れ出張の支援が『ある』ことが大事だと気づいた」

立命館大は2018年から 東大、京大も

 子連れでの出張を支援する動…

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